2007.11.15

繰返し軸方向荷重を受ける粘土中の摩擦杭の変形挙動(JSF1990)

稲 国芳(武智工務所)・岸田英明(東京工業大学)

■掲載誌:第25回土質工学研究発表会(岡山),E-4 477,p1309-1312
■発行所:土質工学会
■発行:1990

 粘土中の摩擦杭に規則的な一方向繰返し軸方向荷重が作用すると、変位振幅は一定に保たれたまま、塑性変位(平均変位)が累積する。塑性変位の累積の割合は繰返し回数と共にしだいに減少していくが、破壊に至る場合には、変位振幅はほぼ一定のまま推移するものの、この塑性変位の増大による破壊モードとなる。このような杭の変形挙動は、現場実験(McAnoy et al,:1982, Puech:1982, Karlsrud et al,:1986)や、模型実験(稲 他:1989)において観察されており、繰返し荷重を受ける杭の挙動を支配する塑性変位の累積機構の解明が重要と思われる。一方、繰返し載荷に伴う杭の塑性変位応答は、荷重振幅(±Qcyc)、平均荷重(Qave)、周期(T)、繰返し回数(N)、荷重波形等の要因によってさまざまに変化することが認められている。さらに重要な要因としては、杭を支える地盤の力学的特性があげられる。
 地盤材料としての粘土の力学的特性は、その顕著な時間依存性挙動で特徴づけられる。変形に関する特性はすなわち、粘土のクリープである。Hyde & Brown(1976)は、非排水条件下における粘性土のクリープ特性と一方向繰返しせん断特性の類似性に着目し、繰返し載荷による三軸供試体の塑性ひずみ速度の予測に、Singh & Mitchell(1968)のクリープ関数を応用できることを見出している。
 本研究は、上述のHyde & Brown(1976)の手法を応用することにより、一方向の規則的な繰返し軸方向荷重を受ける粘土中の模型摩擦杭の塑性変位の予測を試みたものである。繰返し載荷試験に先立ち、4種類の荷重レベルでクリープ(一定荷重)載荷試験を行い、得られた荷重〜変位〜時間の結果をもとに、杭〜地盤系のクリープパラメーターを求めている。次に、繰返し試験の変動荷重を一連のクリープ荷重の集合と仮定し、近似することにより、静的な等価荷重を算出している。繰返し載荷に伴う杭の塑性変位は、その静的な等価荷重のクリープ変位の経時変化として与えられている。
 なお、本報告におけるクリープ試験および一方向繰返し試験は、それぞれ破壊に至らない荷重範囲内で行なわれた実験である。

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