2012.10.20

2011年福島県浜通り地震の地表地震断層の近傍における建物被害調査(日本地震工学会2012)

久田嘉章(工学院大学)、久保智弘(工学院大学)、松澤 佳(ジャパンパイル)、松本俊明(篠塚研究所)、田邉朗仁(工学院大学)、森川 淳(小堀鐸二研究所)

■掲載誌:日本地震工学会論文集 Vol.12, No.4, pp.104-126
■発行所:日本地震工学会
■発行:2012/9

2011年東北地方太平洋沖地震の広義の余震と考えられている2011年福島県浜通り地震(Mj7.0)では、大規模な地表地震断層が出現し、多大な建物被害が発生した。この地震は正断層の活断層帯の地震であるが、周辺で観測された強震動や距離減衰式による検討から、逆断層の地震と比べて特に地震動が弱くはなかったことを確認した。さらに、地表地震断層と震源近傍の強震による建物への影響を調べるため、地表断層のごく近傍において建物の悉皆調査を行い、191棟の建物被害の特徴を整理した。その結果、建物の大きな被害は地表断層の直上による地盤変状(断層すべりや地盤傾斜)に起因し、強震動による甚大な被害は殆ど無く、断層の近傍で推定される震度も6弱から5強程度であることが分かった。また地表地震断層の直上の建物では、最大で80 cmにも達する断層すべり変位の影響により、大きな変形や傾斜による被害が生じたが、耐震性に劣る1棟の寺院の山門を除き、倒壊した建物は無かった。

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