2020.09.04

圧縮靱性を付与した既製コンクリート杭の一軸圧縮実験(AIJ2020)

渡邊秀和(建築研究所)、宮原清(コンクリートパイル・ポール協会)、向井智久(建築研究所)、大塚悠里(建築研究所)、平出務(建築研究所)、中村聡宏(建築研究所)、木谷好伸(コンクリートパイル・ポール協会)、浅井陽一(コンクリートパイル・ポール協会)、平尾一樹(コンクリートパイル・ポール協会)、長澤和彦(コンクリートパイル・ポール協会)、石川一真(コンクリートパイル・ポール協会)

■掲載誌:日本建築学会大会学術講演梗概集(関東) 構造Ⅳ, pp.561-562
■発行所:日本建築学会
■発行:2020/9

 2011 年東日本大震災や2016 年熊本地震では,構造設計時に十分な検討が明示的に求められていない部位の損傷が顕在化し,その結果,当該建築物が地震後,継続使用できなくなる事例が確認されている。上記の典型的被害の一つとして杭基礎の被害が挙げられる。現行基準において杭基礎は中小地震における損傷制御を目的とした設計が行われているものの,大地震後の継続使用性を確保するための基礎構造の終局限界状態における構造性能に基づく設計はほとんど行われていない。一方で研究レベルでは,大地震後の継続使用性を確保するための設計法についての検討例が示されたが,この検討例では靱性のある杭を採用している。
 杭基礎構造の構造性能については,例えば文献などで,大地震時に対する杭基礎構造を対象とした構造性能評価に資する技術資料が纏められつつある。そこでは,場所打ち鋼管コンクリート杭やSC 杭では鋼管の座屈によって終局状態に至っていることが報告されており,杭体の靱性能が十分に確保されているとはいえない。
 そこで本研究では,上記の研究背景を踏まえ,大地震時の軸力作用下においても,建物の継続使用性を確保するための十分な靱性能を有する杭体の開発を行う。今回は特に圧縮靱性に着目し,基本的な杭の圧縮挙動を確認することを目的に一軸圧縮実験を実施する。

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