2021.04.02

既製杭を用いた地中熱利用技術:地熱トルネード工法(基礎工2021)

今広人(ジャパンパイル)

■掲載誌:基礎工4月号, pp.108-109「特集:最近の既製コンクリート杭の動向」
■発行所:総合土木研究所
■発 行:2021/4

1.はじめに
 地熱トルネード工法(以下,本工法)は,ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化要素技術として注目されている地中熱利用を推進する技術である。例えばエアコンの室外機の役割を地中が担う場合,室外機の代わりに地中熱交換器を設け,地中に十数メートル~百メートル前後の孔を掘り,熱搬送する水が循環できる樹脂製チューブを設置する。この地中熱利用が欧米諸国や中国に比べて日本で普及が遅れている要因としては,崩れやすく硬軟複層で形成する日本の地盤では掘削工事の費用が高額となることと,2010年にエネルギー基本計画に書き込まれるまでは,エネルギー政策として認知されておらず,補助金制度がなかったことにある。本工法は工事課題を解決すべく,既製杭と採熱チューブとを一体で施工する画期的な工法を新日本空調㈱と共同で開発し,2017年1月より市場導入を開始している。導入事例を積み重ねて,第17回(2018年)環境・設備デザイン賞の優秀賞を受賞した。