2021.09.21

現場検査マイスターと統合型管理装置による施工管理・品質管理技術(基礎工2021)

細田光美 (ジャパンパイル)、藤江雄大 (ジャパンパイル)、照井雄大 (ジャパンパイル)

■掲載誌:基礎工9月号, pp.72-74「特集:杭基礎の施工ずれへの対処・対策」
■発行所:総合土木研究所
■発 行:2021/9

1.はじめに
 社会一般のデジタル化が進展するなか,杭業界の施工管理は世の中の流れからは後れを取っており,変化のないパターン化された施工管理を実施してきた。
施工状況の測定・記録を一元管理できる統合的な管理装置が市場に投入されてからは,施工管理の一部がアナログからデジタルへと化し,施工記録を電子データにて保存できるようになった。しかし,一部の地域では昔ながらの手法での施工管理から脱却できず,品質の確保・向上や施工記録データの充実という観点ではあまり進展がない時期を経てきた。
そんななか,2015年に施工データ問題が発生し,これを契機に杭の施工管理や記録データの重要性が再認識された。翌2016年には,国土交通省は建設業界全般に対するi-Constructionの旗のもと,生産性の向上を打ち出した。その方針に則り,杭打ち工事においてICT(情報通信技術)を用いた施工管理に取り組むために導入された代表的なツールの1つが,ここに紹介する「現場検査マイスター」である(写真―1)。
本システムは,杭打ち工事の合理的な施工管理を目指したものである。既に実用化され実現場でも使用しており,地域差はあるが著者の組織においてもその実施率は徐々に上昇してきている。
アナログ産業の代表格と見なされてきた杭業界は,DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組みを「現場検査マイスター」と「統合型管理装置」を核にして進めている。ここでは,杭専業社の目線に立って開発および改善・改良を繰り返したこの2つを中心に取り上げるとともに,現状の活用状況の紹介と近い将来の展望を加えたので紹介する。