2007.09.01

杭の衝撃載荷試験の波動解析に用いる入力波の検討(AIJ2007)

小嶋 英治(ジャパンパイル) ・ 松本 樹典(金沢大学大学院)

■掲載誌:日本建築学会大会学術講演梗概集(九州), 563-564
■発行所:日本建築学会
■発行:2007/8

 2002 年5 月に,地盤工学会基準「杭の鉛直載荷試験方法・同解説」1)(以下,基準と省略する)が発行され,杭の衝撃載荷試験法もそのうちの一つとして導入された。同載荷試験法は,杭頭を打撃し,杭の加速度およびひずみなどから杭に生じる軸方向力を求め,杭と地盤をモデル化し,波形マッチング解析から杭先端や周面の静的抵抗などを求めて,杭の荷重−変位(沈下)関係と支持力を推定する方法である。反力装置が不要のため,低コストで工期が短いことら,杭の支持力確認に広く使われるようになった。
 基準では,波形マッチング解析法として一次元波動理論に基づいた特性曲線法1)が紹介されている。特性曲線法も断面が一様な杭であれば,容易に解を求めることができる。しかし,非一様断面杭や異種杭となると,解も複雑になる。そこで,杭と地盤の微小領域のつり合いから求めた偏微分方程式を,差分法2)やマトリックス法3)などで解く方法や,Smith 法によって波形マッチングする解析法も用いられている。これらの解法では,入力波は杭頭に与えた衝撃力(方向力)を用いている。特性曲線法は,地盤抵抗を離散化し,離散化した杭節点に地盤抵抗が集中しているモデルとし,波動伝播理論は,軸方向力を上昇波と下降波に分離して組み立てている。また,基準で紹介している特性曲線法では,入力波に計測点の下降波を用いている。衝撃載荷試験では入力波をどう扱うかは大きなテーマであるが,論文(例えば4),5))は非常に少ない。本論文は差分法やマトリックス法と比較し,基準で紹介されている特性曲線法の入力波について検討するものである。

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