2007.08.01

載荷試験による性能確認(建築技術2000)

小椋仁志(ジオトップ)

■掲載誌:建築技術, pp.172-175
■発行所:建築技術
■発行:2000/9

 性能設計においては,これから設計する杭にどの程度の性能を要求するか,あるいは,施工された杭が設計時に要求された性能を満足するかどうか,などを的確に評価することが必須事項になる。その評価手法として,まず,支持力式や沈下量の算定式を用いる方法がある。しかし,全国の地盤は千差万別であって,さまざまな地盤に設置される杭の支持力・変形性能を全国一律の支持力算定式や沈下量算定式などから求めるのは無理があり,この方法のみによって杭の性能を評価するのは妥当ではない。性能評価手法として最も適切な方法は,杭が持っている支持力や変形に関する性能を確実に評価できる載荷試験であろう。載荷試験は,実際と同じ地盤に,実際と同じ施工法で設置された杭に,実際とほぼ同じ状態の荷重を載荷して支持力や沈下量のデータを得るため,杭の性能を最も的確に評価することができる。したがって,性能設計においては,載荷試験は欠かすことのできない性能評価手法となる。しかし,現状では,載荷試験(ここでは,杭の鉛直載荷試験)には設計諸基準や費用,準備時間などの面で制約が多く,あまり行われていないのが実状である。本報では,これらの制約を解消できる新しい試験方法を紹介し,載荷試験を活用して性能設計に即した合理的な設計が行われるようになるための条件を考える。

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