2010.08.25

杭の静的載荷試験法における剛性のばらつきを評価する提案(JGS2010)

小嶋英治(ジャパンパイル)・冨澤幸一(寒地土木研究所)・齊藤彰(ジャパンパイル)・遠藤勝美(ジャパンパイル)

■掲載誌:第45回地盤工学研究発表会(松山), pp.1165-1166
■発行所:地盤工学会
■発行:2010/08


杭の載荷試験は,鉛直試験1)と水平試験2)に分類され,そのおのおのに静的試験と動的試験がある。静的試験は反力装置を用いて試験杭を載荷する試験法で,反力装置の組立が必要で,動的試験に比べ試験費および工期が掛かる。それに対して,動的試験は反力装置が不要で試験費が低価格であり,一日に何本かの試験が可能である。鉛直方向の動的試験では,衝撃載荷試験1),3)と急速載荷試験1)が基準化されている。一方水平方向では,実現場で動的載荷試験が試みられ4),データの蓄積が行われている。
本ペーパーは杭の静的載荷試験に関する提案である。設計時に設定された水平地盤反力係数などの妥当性確認のために、実現場で杭の静的試験を用いた確認試験を行う場合がある。確認試験は一現場で複数の杭で試験を行うことが好ましいが,経費および工期の関係で一現場一試験杭でしか行われていないのが実状である。この場合に,選定した試験杭がその現場の代表の杭と評価して妥当なのか(以下,試験杭の妥当性と称す)が問題となる。
橋梁の橋台および橋脚の杭基礎では,一般に同種同径の杭が採用されており,実現場で行われる確認試験では,試験杭および反力杭は同じ杭となる。筆者らはここに注目した。すなわち,実現場で行われる載荷試験では,従来の一現場一試験杭の載荷試験であっても,反力杭全体に生じる載荷荷重を試験杭と等価と仮定すれば,反力杭の平均の,荷重−変位量曲線を求めることができる。これを利用して,筆者らは,従来の一現場一試験杭で行われる杭の静的載荷試験で,杭体および地盤の剛性(以下,杭の剛性と称す)のばらつきを評価し,試験杭の妥当性を確認する試験法を試みた。

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