2007.10.22

基礎設計における基準の背景と用い方 7-1 杭基礎の設計(鉛直支持)(土と基礎1992)

平山英喜(ジオトップ)

■掲載誌:土と基礎, 40-6(413), pp.57-64
■発行所:土質工学会
■発行:1992/6

道路・鉄道・港湾・建築関係の基準類における杭基礎の設計において,基本的な検討事項および設計手順はある程度共通している。しかしながら,各々の対象構造物・関係機関・基準類の役割・制定の歴史的経緯等の違いにより,それぞれの特徴を有する。
本章では,下表の基準類を対象とする。
(1)道路:道路橋示方書・同解説IV下部構造編1)
→道示
(2)鉄道:国鉄建造物設計標準解説一基礎構造物・抗土圧構造物2)
→建造物設計標準
(3)港湾:港湾の施設の技術上の基準・同解説3)
→港湾施設基準
(4)建築(行政):建設省告示第111号・1623号4)
→告示
(5)建築(学会):建築基礎構造設計指針5)
→建築基礎指針
まず全体にほぼ共通する基本的検討事項と設計手順を7.2節で概説する。本稿ではその内,鉛直支持について述べ,水平抵抗については次稿で述べる。そこで,7.3節で各現行基準類の鉛直支持力算定法の特徴をまとめ,次に7.4節で杭施工法別に各現行基準類の鉛直支持力算定式を比較する。ただし,群杭に関しては実測データが限られているので,単杭のみを対象とする。1985年以前の旧基準類についての歴史的経緯・特徴については文献6)に詳しく説明されているが,それ以降,建築の行政関係を除いてすべて改定されている。そこで,旧基準類との対比のもとに説明する。ただし基準の性格上,改定に際しては前基準と基本的には矛盾しないことが前提となっている。最近の改定の主要な点は,軸力分布を測定した現場載荷試験データの蓄積に基づく,場所打ち杭を中心とした支持力算定法の見直しであるので,その点を中心に述べる。7.5節で,主に土質力学的な観点から,杭の鉛直支持力算定に関する動向と課題をまとめる。

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