2007.09.01

基礎構造の耐震診断手法に関する研究(AIJ2007)

金子 治(戸田建設) ・新井寿昭(西松建設) ・保井美敏(戸田建設) ・小林恒一(ジャパンパイル) ・佐野大作(戸田建設)

■掲載誌:日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿), 構造IB-1, pp.621-622
■発行所:日本建築学会
■発行:2007/8

 既存建築物の耐震診断は,たとえば(財)建築保全センター「官庁施設の総合耐震診断・改修基準及び解説」に基本事項として「耐震安全性の評価は上部構造及び基礎構造の評価を考慮して総合的に行う」とあるように,構造体全体にわたって実施すべきものであるが,この基準でも上部構造の診断手法の詳細が示されているのに対し,地盤及び基礎に関しては「耐震診断は必要に応じて実施」「耐震性能は実情を考慮して適切に評価」としているのみで,具体的な方法は示されていない。これは,基礎構造に生じる損傷が直ちに人命の安全に影響を与えることはないと考えられていることや,基礎構造の耐震性能評価の方法が確立されておらず,兵庫県南部地震の被害事例に基づく基礎構造の耐震診断手法の提案1)2)3)はあるものの普及には至っていないことが,要因と考えられる。そこで本報では,杭基礎に関して既往の耐震診断,耐震性評価手法を上部構造と対応するように整理し,1995年兵庫県南部地震において被災した建物を対象に,これらの診断手法の適用性を確認するとともに,耐震補強として液状化対策を行った場合の検討を行った。

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