2007.10.01

節杭の設計と施工(建築の技術1982)

細川義隆(武智工務所)・大杉富美一(武智工務所)

■掲載誌:建築の技術 施工, 22, p228-238
■発行所:
■発行:1982/01

 節杭は、1925年に実用化されて以来今日に至るまで、50年以上の長い期間使用されてきた。半世紀を超える歴史の中で変化した点を挙げると、次のようになる。
(1)施工法
打込み工法が少なくなり、埋込み工法が主流となりつつある。
(2)本体部形状
当初、節杭は4角柱に節をつけた形状であったが、主要部(本体)形状が8角形、6角形、3角杭および円筒形のものが製作されるようになった。
(3)材質
振動詰めの鉄筋コンクリート杭に属する杭材から,遠心力成型の高強度プレストレストコンクリート杭タイプの杭材の節杭が製造され始めた。
 表-1には、前述(1)〜(3)の項目を中心として、現在実用に供されている節杭を分類して示す。同表中に示されている節杭に共通しているのは、杭長が12m以下であり、継ぎ杭として用いる例はほとんどないことである。
 筆者らは、節杭にあってはこのように杭長が短く、単杭として用いられていることが節杭の設計および施工を考える上での特色につながっていると考えている。すなわち、節杭にあっては一般に次のようなことがらを認識しておく必要がある。
(1)杭先端部が支持層に達している例は少ない。
(2)比較的小さな設計支持力で用いられるため.施工本数が多くなる。
(3)杭先端より下に軟弱な粘性土が存在する例が多く、圧密沈下の検討を無視できない。
 今回の特集号では、施工面を重視することを主旨として課題を依頼されたわけであるが、節杭には特に設計時点で留意しておくべき点が多いこと、および鉛直支持力に関しての認識と実情が異なっており、施工管理にも関連すると考えられることから、節杭の性能について触れる部分が多くなることをあらかじめお断りしておく。

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