2007.04.20

各論 摩擦杭(節付き)(基礎工1983)

藪内貞男(武智工務所)

■掲載誌:基礎工, p36-44
■発行所:総合土木研究所
■発行:1983/06



),近年の基礎構璋に関する話題としては,十勝沖・宮城県沖地震における既製コンクリート杭を中心としての震害,もしくは杭の水平抵抗に関するものが主であった。しかし最近だけに限れば,摩擦杭・地盤改良・フローティング基礎などへと関心が移ってきているように思える。このように,支持層に頼らない基礎工法を積極的に検討してゆこうとする機運あるいは,支持杭過信に対する反省を促している要因はいろいろと考えられる。おそらく本号においても,諸先生方からの詳しい解説が予想されるところであるが,土質・基礎工学の進歩に伴なって得られる知識や,情報が実務者に浸透してきたため,それぞれの地盤や構造物の規模・用途に応じ,合理的な設計が行なえるようになうたことも大きな理由の一つといえよう。
このように合理的な基礎工法への関心は高まりつつあるものの,一般化するまでにはまだまだ相当な時間が必要となろう。合理的な基礎工法を選定し,設計を進めるためには,一上部構造物・基礎工法・土質工学などの総合的な知識が必要であり,高いレベルでの技術力が要求される。ところが,それぞれの分野における研究発表や報告については,諸学会の論文集1学会誌・雑誌などでなされているものの,実例に関する情報については,それぞれノウハウが関係して企業秘密になるためか,詳しい報告の例は少なく,なかなか得がたいのが実情のように思える。
今回のような特集や文献1)中に引用したいくつかの実例の報告,および文献2)4)に示されている基礎工法に関するいくつかの問題点(土質調査・確認申請・過剰設計・支持杭の過信)の指摘や,合理化への勧めが繰り返されるならば,次第に支持層に頼らない基礎工法なども検討の対象として見直しが行なわれると期待される。
しかし,支持層に頼らない基礎工法も現状では,すべての面が明確にされたわけではなく,未解明な点も多々残されている。またこれらの工法については,現在調べられている事項に限っても比較的発表される機会が少なかった。このように情報不足もこれらの工法の普及を妨げる一因となっている。ここでは紙面の関係もあり,文献1)で分類した長尺摩擦杭や不完全支持杭については,別に報文で取り上げられているのでふれず,短い摩擦杭の中でもっとも使用例が多いと考えられる節杭についてのみ紹介するものとした。
またすでに報告されている文献を簡単に説明することによって,なるべく広範囲に調査結果を報告するよう心掛けている。とくに文献1)には,使用されている節杭の種類・杭長・設計支持力などについての報告がなされているため,本稿では,これらについては詳しく述べない。