2007.04.20

節杭の荷重〜沈下量関係の理論解析法(AIJ構造系論文報告集1988)

小椋仁志(武智工務所)・山肩邦男(関西大学)

■掲載誌:日本建築学会構造系論文報告集 No.393, pp.152-164
■発行所:日本建築学会
■発行:1988/11


杭体に数個のつば状の突起物(節部)を持つ杭を一般に節杭と呼んでいる。この杭を打設するときは,節部によって生じる地盤と杭本体部とのすき間に砂利や砕石などの礫材を充てんして,杭周の摩擦抵抗の増大を図っている。
筆者らは,この節杭の支持力機構を検討するため,これまで模型実験1)や実大杭による実験2)を行ってきた。今回,これらの実験によって分かった支持力特性を考慮して,節杭の荷重〜沈下量関係の理論解析法を誘導することとした。
これまで提案されてきた杭の荷重〜沈下量関係の理論的な解析手法を,文献3)では次の3種類に分類している。

 (1)伝達関数による方法
 (2)弾性論による方法
 (3)FEMによる方法

これらの方法のうち,節杭の荷重〜沈下量関係に応用した場合,最も適切にその支持力特性を表現できるのは(2)の弾性論による方法であると判断し,この方法によって荷重と沈下量の関係を考えることとした。
弾性論による方法とは,地盤を半無限弾性体と仮定した上で,杭体と地盤とを数個の要素に分割し,各要素間の相互作用を考えて荷重〜沈下量関係を求めるものである。すなわち,一つの要素に作用する力によってほかの要素に生じる沈下量をMindlinの第一解で求め,力の釣合条件と沈下量の適合条件から成立する連立方程式を解いて,各要素に作用する抵抗と沈下量を求める。これまでにも,H型杭や円形杭,群杭などを対象として,D'ApPoloniaら4)を始めPoulusら5L61,山肩・八尾7),山下ら8)などによって解析法が提案されてきた。本論文では,この弾性論による方法をベースとし,節杭の支持力特性を考慮して誘導した荷重〜沈下量関係の理論解析法を示す。

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