2012.07.02

根固め部の下方長さと強度がストレート杭の支持力特性に与える影響-埋込み杭の拡大根固め部に関する模型実験 その2-(AIJ構造系論文集2012)

石川一真(ジャパンパイル)・伊藤淳志(関西大学)・小椋仁志(ジャパンパイル)

■掲載誌:日本建築学会構造系論文集 Vol.77, No.676, pp.883-889
■発行所:日本建築学会
■発行:2012/6

 筆者らは、既製コンクリート杭の拡大根固め工法において、4つの要素―(1)杭本体の形状、(2)根固め部の強度、(3)根固め部の下方長さ(杭本体先端から根固め部先端までの距離)、(4)根固め部の直径―が杭支持力特性に与える影響を調べることを目的とする模型実験を行った。
 一連の実験のうち、杭本体を節杭とした場合に根固め部の強度と下方長さが支持力特性に与える影響について前報で検討した。その結果、1) 根固め強度が10N//mm2であれば、下方長さが無くても極限支持力を評価する沈下量(節部径の10%)までは、強度が15N/mm2以上のケースと同等の支持力が得られること、2) 根固め強度が15N/mm2であれば、下方長さの有無は荷重-沈下量曲線にほとんど影響を及ぼさないこと、3) 根固め部が破壊しても支持力が大きく減少することはないことなどがわかった。
 一方、拡大根固め工法には杭本体をストレート杭とするものも多くあり、いくつかの模型実験が行われている。倉知ら2)3)は根固め部の下方長さを杭径の1,2,3,3.5倍に変化させて模型実験を、また木谷ら4)は根固め部の下方長さと直径をパラメータとして模型実験を行っている、しかし、根固め部の強度の影響については検討されていない。
 本研究では、ストレート杭を用いて、根固め部の下方長さを杭径の0,0.83,1.3倍に変化させ、加えて根固め部の強度も変化させて模型実験を行った。本報では、これらの実験結果を述べるとともに既往の研究との比較を行い、杭本体をストレート杭とした場合に根固め部の下方長さと強度が支持力特性に与える影響について検討する。また、前報で報告した節杭の実験結果と比較することにより、杭本体の形状が支持力特性に与える影響についても検討する。

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