2007.04.20

地盤の拘束圧依存性が液状化判定に及ぼす影響(JGS2005)

小林恒一(ジオトップ)・吉田望(応用地質)・規矩大義(関東学院大学)

■掲載誌:第40回地盤工学研究発表会講演集,  p2263-2264
■発行所:地盤工学会
■発行:2005/07


1995年に発生した兵庫県南部地震では、多くの構造物が被害を受けたため、耐震設計法の見直しが各研究機関で行われた。このような状況で、液状化発生の判定方法の見直しも各機関で行われた。建築物に関しては、2001年度版の建築学会の建築基礎構造設計指針1)で、損傷限界状態および終局限界状態に対して、地表面加速度としてそれぞれ150〜200cm/s2、350cm/s2程度を推奨し、この値を用いた簡易の液状化判定(FL値)を行うことが多い。
一方、軟弱地盤が中間層に存在する場合には、地震時にその地盤が非線形化(軟化)すると、その層以浅の加速度は小さくなる現象が報告されている2)、3)。このような地盤応答をする場合には、従来の地表面加速度から地盤の地震時せん断応力を推定する方法では、予測の精度が悪くなると報告4)もある。杭基礎を有する建築物の場合は、ある程度の液状化を許容する設計が一般的であり、その場合には駅常時の変形挙動等の予測は必要であるが、地盤特性を考慮した液状化判定を行うことにより、合理的な杭基礎の耐震設計が可能となる。特に、免震・制震および高層などの建築物は、構造計算で時刻歴応答計算を用いるので、地盤の地震応答解析を行い、地盤応答値(地中のせん断応力または地表面加速度)から全応力解析による判定を行う場合もある。本来、地盤応答は地盤特性の影響を受けるので、全応力解析を用いた液状化判定は簡易の判定法に比べて精度は向上すると思われるが、地盤応答解析を行うための解析定数の設定が解析結果に影響を及ぼすため、その妥当性については検討することが必要と思われる。
ここでは、地盤の応答解析に関する定数の中で、特に、拘束圧に依存した地盤の変形特性やせん断剛性に着目し、これらの解析定数の設定の違いで液状化判定にどの程度の影響を与えるのか解析的な検討を行った。

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