2007.09.01

二次液状化地盤の変形特性(AIJ2007)

小林 恒一(ジャパンパイル) ・吉田 望(東北学院大学) ・三上 武子(応用地質)

■掲載誌:2007建築学会大会, p525-526
■発行所:日本建築学会
■発行2007/8

液状化には,地震による繰返し載荷によって有効応力が失われるものと,液状化した地盤からの過剰間隙水圧の伝播により有効応力が失われる二次液状化がある。液状化は,有効応力が0 になり,地盤の剛性や強度が失われる現象と理解されているので,両者は同じく液状化として扱われているようである。例えば,図-1 に示す地盤モデルの透水性を考慮した有効応力解析結果(過剰間隙水圧比時刻歴波形)1)を図-2 に示す。この図から,GL-9.0m 以深のシルト質細砂が液状化した場合,過剰間隙水圧の消散により細砂層の過剰間隙水圧は上昇する結果となることがわかる。このような解析結果から,杭の設計において,過剰間隙水圧比の程度に応じて地盤反力係数を低減する解析方法や設計法が提案されている。しかし,地盤の剛性や強度は変形挙動とともに論じる必要がある。たとえば,液状化後の変形挙動は載荷量によって変化する2)。このことは,液状化後の変形特性は過剰間隙水圧の値だけではなく,繰返し載荷による材料特性の劣化も考慮する必要があることを示唆している3)。とすれば,繰返し載荷で液状化に至らなかった地盤が,過剰間隙水圧の伝播による二次液状化で有効応力が0 になったとしても,繰返し載荷で有効応力が0 になった地盤とは,変形特性が異なるはずである。しかし,このような挙動を扱った研究は見あたらない。本論では,二次液状化地盤の変形特性を三軸圧縮試験で求めた結果を報告する。実験では,地震による振動および過剰間隙水圧の伝播をそれぞれ繰返し載荷,背圧付加により模擬し,両者を組み合わせて有効応力を0 にして二次液状化地盤とした。

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