2008.06.17

節杭を用いたプレボーリング根固め工法杭の荷重−沈下関係の推定方法(AIJ構造系論文集2008)

伊藤 淳志(関西大学) ・小椋 仁志(ジャパンパイル) ・田中佑二郎(ジャパンパイル) ・韓 英敏(関西大学大学院) 

■掲載誌:日本建築学会構造系論文集 Vol.73, No.628, pp.907-913
■発行所:日本建築学会
■発行:2008/6


 近年の構造設計においては、仕様設計から性能設計へと移行しており、基礎構造の分野でも限界状態設計法が導入されて、強度(支持力)とともに変形に対する検討が重要視されるようになってきた。それに伴い、鉛直荷重に対する杭の設計において、沈下量の検討が必要不可欠であり、これを精度よく算定する手法の確立が望まれている。
 このような情勢に鑑み、筆者らの一部は埋込み節杭を対象として、既往の載荷試験データを統計的に検討し、杭頭の荷重−沈下量関係を地盤定数より推定する手法の提案を行った。この手法は、杭の先端抵抗−先端沈下量曲線および杭周面の地層ごとの摩擦抵抗−沈下量曲線をそれぞれの地盤のN値から推定し、杭を弾性体と仮定して変位の適合条件式を解く方法(以下、荷重伝達法と呼ぶ)であり、推定結果は実測値と比較的よい対応を示した。
 同手法においては、単位面積当たりの先端抵抗および周面摩擦抵抗を、杭の本体径(節部径)の円筒面積を採用して算出していた。しかし、現状の根固め液および杭周固定液の強度や剛性を考えると、支持メカニズムとして、杭本体径よりも掘削径で評価する方が適切であろう。特に拡大掘削を伴う場合は、杭径に基づく先端抵抗−先端沈下量関係は他の掘削径の異なる工法での沈下量の評価には適用できない。
 そこで今回、文献のデータにその後の工法の載荷試験データを追加し、掘削径に基づく先端抵抗−先端沈下量曲線と周面摩擦抵抗−沈下量曲線の推定、およびそれらを採用して荷重伝達法により求めた杭頭荷重−沈下量関係の信頼性について検討を行ったので、本論において報告する。
 なお、本論文の一部については、既に文献において中間発表済みであることをお断りしておく。

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