2007.04.20

遠心成形高強度コンクリートの力学特性に及ぼす微細空隙の影響に関する研究(AIJ構造系論文集2006)

菅一雅(ジャパンパイル)・桝田佳寛(宇都宮大学)

■掲載紙:日本建築学会構造系論文集 No.610, pp.7-12
■発行所:日本建築学会
■発行:2006/12



遠心成形は、コンクリート中の余剰水や微細空隙を遠心力により排出して、コンクリート組織をより密実にする。しかし、高強度コンクリートになるとコンクリートの粘性が増大するため、遠心成形で作用する効果が違ってくることが考えられる。
本研究は、このような高強度領域におけるコンクリートに作用する遠心成形の影響を把握するため、水結合材比17〜33%の調合について、遠心成形後の強度物性やコンクリート中の微細空隙の変化について振動成形と比較して検討を行った。
微細空隙の測定は、リニアトラバース法による気泡測定と細孔径分布の2種類を行った。水結合材比17〜23%の調合では、振動成形に比べ、遠心成形したものは、圧縮強度、ヤング係数とも増加する傾向を示した。これら試験体の遠心成形と振動成形の微細空隙状態の差は、0.003〜30(μm)の細孔径分布では差はないが、30〜1000(μm)の気泡については遠心成形の場合が少なくなる傾向を示した。このことから、水結合材比17〜23%の高強度コンクリートでは、遠心成形の効果により30〜1000(μm)の気泡が減少し、強度増加することが判った。

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