2008.10.01

実務における摩擦杭の設計方法-支持杭と対比して-(基礎工2008)

本間裕介(ジャパンパイル)・山田恵美(ジャパンパイル)・杉田謙一(ジャパンパイル)・後庵満丸(ジャパンパイル)

■掲載誌:基礎工10月号, pp.19-22
■発行所:総合土木研究所
■発行:2008/10

地盤工学用語辞典1)において、摩擦杭は「杭先端が支持層(十分な強度や層厚をもつ岩盤やN値の大きい砂礫層)に達していない杭」と定義され、支持杭はこの対語とされている。または、支持力機構によって、摩擦杭を「荷重の大部分を周面抵抗力で支持する杭」とし、支持杭を「〜先端抵抗で支持する杭」と定義する場合もある。このように定義されてはいるが、同じ杭においても荷重レベルや杭の沈下量によって先端抵抗と周面抵抗力の寄与する割合が異なり、一般的には杭の沈下量に応じて摩擦杭から支持杭に移行する挙動を示す。このような実挙動を理解すれば、摩擦杭と支持杭とを区別することに意味を成さないとする意見2)もあるが、本稿では、前者の定義に立ち、杭先端が支持層に達しない摩擦杭と達する支持杭の設計フローについて、建築分野の実務設計に即した観点から紹介することにする。なお、『建築基礎構造設計指針2001改訂版』3)(以降、指針2001と呼称)に記述された異種基礎や併用基礎に適用した摩擦杭の設計にまで言及していないことをお断りしておく。