2008.10.01

摩擦杭の液状時の挙動(基礎工2008)

吉田望(東北学院大学)・小林恒一(ジャパンパイル)

■掲載誌:基礎工10月号, pp.48-50
■発行所:総合土木研究所
■発 行:2008/10

摩擦杭は,支持杭と並び,基盤が深いときに構造物を支える基礎構造形式として代表的なものである。両者はそれぞれ長所と短所がある。摩擦杭は地盤沈下に対して構造物が地盤とともに沈下していくので,支持杭に見られるようなネガティブフリクションの様な問題や地表で構造物との間に段差が生じないというような長所がある。しかし,一方では摩擦杭の適用性は限定的であるといわれている。たとえば,液状化が発生すると杭と地盤の間の摩擦が期待できないことから,その影響を考慮した詳細な検討 )が必要となり、実務では適用されていないのが現状である。しかしながら,地震時の被害を見ると,このような摩擦杭に対する考え方は必ずしも正しくないように見える。そこで,本稿では過去の液状化地盤における摩擦杭のパフォーマンスを示すことによって,摩擦杭が液状化地盤でもその役目を十分に果たすことを示す。