2021.04.01

機械式継手の引張耐力評価方法の変遷と現状(基礎工2021)

石川一真(無溶接継手杭(PJ)工業会、継手研究会)、熊谷雄二(無溶接継手杭(PJ)工業会)、全田和之(継手研究会)

■掲載誌:基礎工4月号, pp.42-45「特集:最近の既製コンクリート杭の動向」
■発行所:総合土木研究所
■発 行:2021/4

1.機械式継手の概要
 本報で紹介する機械式継手は,ペアリングジョイント(以下,PJ)とトリプルプレートジョイント(以下,TPJ)である。図―1に概要を示す。どちらの継手も,杭の端部に端部金具と呼ばれる金具が付いている。端部金具は,PJの場合は端板と補強バンドからなり,TPJの場合は端板と側板と補強バンドからなる。側板には接続ボルトを螺合するネジ穴がある。継手金具は,PJの場合は内リングと外リングからなり,TPJの場合は接続プ
レートと接続ボルトと接続ワッシャからなる。どちらの継手も,上下の杭の端板外周部を金具(PJ:内リング,TPJ:接続プレート)で挟んで係止する。内リングを固定するものが外リングであり,接続プレートを固定するものが接続ボルトである。
 同図に参考のために示した溶接継手は,端板外周部に開先を設け,溶接によって上下の杭を継ぐものである。機械式継手は,杭施工現場での溶接が不要であることと,継手の施工時間が溶接継手に比べて短いことから,現在では既製コンクリート杭の継手の主流となっている。
 なおPJとTPJは,それぞれ無溶接継手杭(PJ)工業会および継手研究会という協会(会員はパイルメーカーと金具メーカー)によって開発・運営されており,ともに一般財団法人日本建築センター(以下,BCJ)の一般評定を取得している。