2024.05.09

令和6年 能登半島地震の被災速報を通じた所感 -平時を含めたインフラの再整備のために施工委員会が果たすべき役割-(明日を築く2024)

細田光美(鋼管杭・鋼矢板技術協会 施工委員長、ジャパンパイル)

■掲載誌:明日を築く,91号,pp.2-5
■発行所:鋼管杭・鋼矢板技術協会
■発 行:2024/3

1.はじめに
 令和6年1月1日午後4時10分頃に石川県能登半島で最大震度7の強い揺れを観測する地震が発生した。気象庁作成の推計震度分布図を図1に示す。この原稿を執筆している現在は2月半ばであり、1.5ヶ月が経過したところであるが、各地で甚大な人的・物的被害が発生している。
 犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞いを申し上げたい。
 一般社団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会(以下JASPPという)の協会誌である「明日を築く91号」(本号)の本稿タイトルは、当初「JASPPの組織変更に伴う施工委員会の設立について」と題して、年末には原稿の執筆に着手したところであった。この度の大規模地震の発生に伴い、自然災害の脅威について改めて考えさせられた。一方では平時の基本的なインフラ整備の継続的積み重ねが国土強靱化の源泉であることは論を待たないといえる。今年度、JASPP内に組織化された施工委員会は、現場に直結した鋼管杭工法の施工及び施工管理に特化した集団である。杭工事管理者は、設計時の要求性能を十分に担保するよう、施工後の保有性能を向上させ信頼性を高めるために惜しまぬ努力が必要である。このような背景から本稿のタイトルを当初予定から表記へと急遽改めた。ここでは、大規模地震の発生と平時を含めたインフラの再整備、そして今年度(2023年度)より新設された施工委員会を紹介するとともに、国土と社会の「安全・安心」に係る果たすべき役割について関連付けて述べたい。