2008.10.23

中掘り工法(セメントミルク噴出攪拌方式)による斜杭の施工管理例(基礎工2007)

細田光美(ジャパンパイル)

■掲載誌:基礎工10月号, pp.65-71
■発行所:総合土木研究所
■発 行:2007/10

中掘り工法(セメントミルク噴出攪拌方式)は、打撃杭工法の欠点である騒音・振動に関する対策工法として市場に登場し、古くから土木建築の両分野において広く採用されてきた。
この中でも鋼管杭を用いた中堀り工法(セメントミルク噴出攪拌方式)に着目すると、数種の施工法があり、新しい「杭基礎設計便覧・施工便覧」(社団法人日本道路協会H19.1、以下新便覧と略記)にも5工法が示されている。その施工機械や施工方法は、大別すると掘削方法、杭沈設方法、先端処理方法などの違いによって分類が可能である。多くの工法がスパイラル状のオーガースクリュー(+エア)を使用して地盤を掘削し、杭を下方に押込んで圧入させる機構のものであるが、一方で先端刃付きオーガーシャフト(+水)を使用して地盤を掘削すると同時に、杭体を回転させながら圧入させる工法もある。
ここでは、鋼管杭の中堀り工法(セメントミルク噴出攪拌方式)について、今後土木分野において意義深いと考えられる斜杭施工対応の可能性を検討するとともに、その施工管理に関する1例としてTAIP(Takechi Auger In-pilingの略称)工法の場合を中心に採り上げて紹介するものである。
TAIP工法は、新便覧記載の5工法の一つであり、施工方法としては前述説明の後者に該当する。中掘り用の大型圧入装置が不要で、特殊専用シャフト(送水管)使用による機械装備重量の最小限化を実現させているため、中堀り工法の中では斜杭施工に最も対応しやすい工法と考えられる。本報ではTAIP工法を例として中堀り工法(セメントミルク噴出攪拌方式)による鋼管杭斜杭基礎の説明を展開するが、他の中堀り工法を検討する際には、本報を参考に個々の工法の特性を加味して検討されたい。