2011.12.16

根固め部の強度と下方長さが節杭の支持力特性に与える影響-埋込み杭の拡大根固め部に関する模型実験 その1-(AIJ構造系論文集2011)

石川一真(ジャパンパイル)・伊藤淳志(関西大学)・小椋仁志(ジャパンパイル)・永井雅(関西大学大学院)

■掲載誌:日本建築学会構造系論文集 Vol.76, No.670, pp.2107-2113
■発行所:日本建築学会
■発行:2011/12

 既製杭コンクリート杭の埋込み杭工法のひとつに、杭先端の根固め部を杭周部により大きく掘削したプレボーリング拡大根固め工法がある。最近では建設コストを抑える必要から、埋め込み杭工法にも一柱一杭方式が可能になる支持力を要請されるようになった結果、従来よりも大きく拡大した根固め部を築造する工法が開発されるようになった。開発に関しては、鉛直支持力は数多く行われる現場での載荷試験によって確認されている1)。しかし、根固め部の強度が先端支持力に及ぼす影響や、極限支持力時の根固め部の破壊形状などについては、まだ不明な点が残されているのが現状である。
 拡大根固め工法の根固め部に関する既往の研究には、加圧土槽を用いた倉知ら2)3)や木谷ら4)5)の模型実験がある。倉知らは模型ストレート杭と石膏で作った根固め部とを用いた載荷実験によって、木谷らは模型杭の形状(ストレート杭、節杭)と根固め部の大きさとをパラメータとする差異化実験によって、根固め部の支持力特性について検討している。しかし、根固め部の強度が支持力特性に与える影響や、節杭を用いた場合の下方長さ(杭本体先端から根固め部先端までの距離)の影響などについては、十分に検証されているとは言い難い。
 そこで本研究では、既製コンクリート杭の拡大根固め工法において、(1)杭本体の形状、(2)根固め部の強度、(3)根固め部の下方長さ、(4)根固め部の直径の4つの要素が杭の支持力特性に与える影響を調べることを目的とする模型実験を行った。本論文では、一連の模型実験のうち、杭本体を節杭とした場合に、根固め部の強度と下方長さが支持力特性に与える影響について検討する。

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