2013.10.20

層状地盤に支持される杭先端の鉛直支持性能 その3:下部層の影響を受けなくなる地盤条件(AIJ2013)

堀井良浩(大成建設)、山崎雅弘(岡山理科大学)、長尾俊昌(大成建設)、小椋仁志(ジャパンパイル)、桑原文夫(パイルフォーラム)

■掲載誌:日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道) 構造Ⅰ, pp.493-494
■発行所:日本建築学会
■発行:2013/8

 我が国は地盤の地層構成が複雑であり、杭の先端部を図1 に示すようなやや薄い支持層(中間層)に支持させる場合が少なくない。このような杭の先端支持力は、支持層の杭下方の厚さH の先端径D に対する比H/D が小さくなると、剛性や強度が小さな下部層(後述)の影響を受け、支持層が厚い場合に比較して低下することが知られている。建築基礎構造設計指針には、このような杭基礎の設計に関する基本的な考え方とともに、先端支持力の検討において直接基礎の極限支持力の評価に用いる2 層地盤の支持力式の準用やFEM 解析の適用が可能であることが示されている。既報では、図2 に示す先端支持力の評価方法によれば、荷重分散角θと下部層の極限支持力qc を適切に設定する場合には8 例の実験結果と概ね対応する評価結果が得られること、またこの評価結果はFEM 解析結果に比較して同程度もしくは小さめとなること等を報告した。
 一方、先端支持力が支持層が厚い場合と殆ど変ら(下部層の影響を受け)ないと考えられるH/D の最小値(H/D)min について、概ね3~4 以上とする報告がなされている。これは中間層のN 値や下部層の一軸圧縮強さqu に左右されると推察されるが、それらの関係に着目した報告は少ないと思われる。本報では、間層のN 値と下部層のqu に対応する(H/D)min 等を2 層地盤の支持力式を利用して試算し、下部層の影響を受けないと考えられる地盤条件の目安を示す。なお、ここではN 値が大きくてやや薄い砂質土層等を中間層と称し、その直下にあるN値が小さくて粘性土を多く含む地層を下部層と称することにする。

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