2016.10.21

既製コンクリート杭の曲げ変形性能に関する研究(その5 ファイバーモデルの概要)(AIJ2016)

大森淳平(東京工業大学)、田中広夢(東京工業大学)、 渡邊秀和(東京工業大学)、河野進(東京工業大学)、大村哲矢(東京都市大学)

■掲載誌:日本建築学会大会学術講演梗概集(九州) 構造Ⅰ, pp.765-766
■発行所:日本建築学会
■発行:2016/8

 2011 年の東日本大震災において、杭基礎の損傷による建物の沈下や傾斜といった被害が広範囲で見られた。基礎構造は大地震に対する検討を法的に義務付けられておらず、既成コンクリート杭について終局までの変形性能を確認した実験データは充分でない。
 その1~4では杭体の曲げ変形性能を実験により検証した。加えて、解析によって終局までの変形性能を正確に把握することは、大地震に対する杭体の耐震性能を評価するうえで重要である。
 建築基礎構造設計指針(以下、基礎構造指針)には平面保持を仮定した断面解析による杭体の曲げ変形性能の評価手法が示されている。しかし、既製コンクリート杭では破壊の進行によって鋼材の抜出しなどが生じるため、解析による降伏ヒンジ発生後の評価精度は低下する。したがって現状では断面解析のみで終局までの曲げ変形性能を評価するのは困難であり、最大耐力の評価に用いられることが一般的である。
 本研究では既製コンクリート杭試験体10 体を対象に断面解析を行った。複数のコンクリートモデルを用いることでモデル化の影響を検証しつつ、特に最大耐力点以降に着目した変形性能評価を試みた。

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