2025.05.30

最近の鋼管杭の施工管理技術(基礎工2025)

細田光美(一般社団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会 理事 施工委員長)

■掲載誌:基礎工5月号,pp.16-19「特集:杭施工における最近の管理技術」
■発行所:総合土木研究所
■発 行:2025/5

1.はじめに
 鋼管杭は曲げに強く変形性能に優れている。靭性に富み強度も高いため、災害大国の我が国にとっては鋼管杭の活躍の場は従来以上に拡大していくと考えられる。
 過去には、施工性の優れた打込み杭工法が多く採用されていたが、その後の公害問題への関心の高まりや鋼管杭の大径・長尺化、高支持力化等の社会的要請に応じて近年は埋込み杭等の工法が多種多様化している。図1に鋼管杭工法の施工法による分類の例を示す。
 基礎杭については、設計時において地盤や上部荷重条件等に応じてより良い性能が発揮でき、経済性に優れた工法を追求し選定する必要がある。また、施工管理の手法としては工夫を凝らした新たな視点が益々要求されていると考えられる。完成後には地中深く沈設された杭の検査は困難であり、より確実で信頼性の高い施工管理手法を提案し励行していかなければならない。そのためには、従来からのプロセス管理や出来形管理の中で、ICT、BIM/CIM、AIといった先進的な補助技術を積極的に導入する余地があり、さらにこれらを組み合わせることで、より時代に応じた施工管理技術の改善や改革が加速すると考えられる。
 鋼管杭工法においても、新しい技術の利活用などDXを推進することが不可欠であり、今後の鍵になることは論を待たないといえる。本稿ではこのような視点に立ち、将来的な展望にも着目して述べてみたい。
 鋼管杭は工場製造して現場へ搬入される既製杭に該当するが、既製コンクリート杭も同様である。このため、同じ既製杭としての施工管理技術は両者間で共通している内容が多いことを付け加えておく。