2025.06.02
SC 杭のパイルキャップにおいてコンクリートと補強筋との関係が埋込み部耐力に及ぼす影響(AIJ構造系論文集2025)
小梅慎平(ジャパンパイル)、石川一真(ジャパンパイル)、岸田慎司(芝浦工業大学)
■掲載誌:日本建築学会構造系論文集,Vo.90,No.832,pp.723-734
■発行所:日本建築学会
■発 行:2025/6
1. はじめに
近年,高層建物や重量の大きな建物の杭基礎においても,既製コンクリート杭の1 柱1 杭の設計が可能となり,杭1 本が負担する水平力が従来よりも大きくなっている。それに伴い,曲げ耐力が大きいSC杭(外殻鋼管付き高強度コンクリート杭)を上杭に採用する設計が増加している。SC 杭を杭頭部に使用することで,杭と基礎梁および柱との間の応力伝達を行うパイルキャップにもSC 杭に見合った耐力が求められる。しかし,パイルキャップの構造性能については未解明な部分が多く,構造実験や解析が十分ではないのが現状である。
このため,筆者らはSC 杭のパイルキャップの杭頭接合部の性能を明らかにすることを目的として,実大スケールの水平加力実験による研究を行ってきた。これまでに,筆者らは既往の研究において,定着筋方式の杭頭接合面耐力の検討を行い,解析断面を杭と同一の円環とし,支圧効果を考慮してパイルキャップコンクリート強度を4~5倍に割り増した解析結果が実験結果と最も整合性があることを示した。また,既往の研究において,定着筋方式から得られた杭頭接合面耐力と埋込み方式から得られた埋込み部耐力とを累加した耐力と,併用方式から得られた杭頭接合部耐力とを直接的に比較し,併用方式の場合には,杭頭接合面耐力と埋込み部耐力との累加が成り立つことを示した。ただし,パイルキャップに配筋した補強筋の効果については,報告できていない。
そこで本研究では,埋込み部に配筋されたパイルキャップ補強筋の応力度発現状況や,パイルキャップコンクリートのひび割れ状況から,埋込み部におけるコンクリートと補強筋との関係が耐力に及ぼす影響について報告する。
■発行所:日本建築学会
■発 行:2025/6
1. はじめに
近年,高層建物や重量の大きな建物の杭基礎においても,既製コンクリート杭の1 柱1 杭の設計が可能となり,杭1 本が負担する水平力が従来よりも大きくなっている。それに伴い,曲げ耐力が大きいSC杭(外殻鋼管付き高強度コンクリート杭)を上杭に採用する設計が増加している。SC 杭を杭頭部に使用することで,杭と基礎梁および柱との間の応力伝達を行うパイルキャップにもSC 杭に見合った耐力が求められる。しかし,パイルキャップの構造性能については未解明な部分が多く,構造実験や解析が十分ではないのが現状である。
このため,筆者らはSC 杭のパイルキャップの杭頭接合部の性能を明らかにすることを目的として,実大スケールの水平加力実験による研究を行ってきた。これまでに,筆者らは既往の研究において,定着筋方式の杭頭接合面耐力の検討を行い,解析断面を杭と同一の円環とし,支圧効果を考慮してパイルキャップコンクリート強度を4~5倍に割り増した解析結果が実験結果と最も整合性があることを示した。また,既往の研究において,定着筋方式から得られた杭頭接合面耐力と埋込み方式から得られた埋込み部耐力とを累加した耐力と,併用方式から得られた杭頭接合部耐力とを直接的に比較し,併用方式の場合には,杭頭接合面耐力と埋込み部耐力との累加が成り立つことを示した。ただし,パイルキャップに配筋した補強筋の効果については,報告できていない。
そこで本研究では,埋込み部に配筋されたパイルキャップ補強筋の応力度発現状況や,パイルキャップコンクリートのひび割れ状況から,埋込み部におけるコンクリートと補強筋との関係が耐力に及ぼす影響について報告する。